共同研究グループ出版物

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共同研究グループ刊行物

「アジアの国際ビジネス環境」グループ プロジェクトペーパー

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「アジア都市の生活圏」レクチャーシリーズ 2024-2025

Vol.01
Vol.1
Touristification, gentrification, pandemic, and living heritage
-Recent urban transformation at a World Heritage Site and a non-UNESCO historic site

Khoo Suet Leng(マレーシア科学大学 准教授)
柏原沙織 (神奈川大学建築学部・特別助教)
Vol.02
Vol.2
ハノイ都市部の生活圏

竹森紘臣(Worklounge 03- Vietnam 代表取締役)

「アジアの社会遺産と地域再生手法」レクチャーシリーズ 2020-2021

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ミエン・ヤオの儀礼文化の調査研究

ミエン・ヤオの儀礼文化の調査研究

 2008年に設立した神奈川大学プロジェクト研究所ヤオ族文化研究所は2015年4月に一般社団法人ヤオ族文化研究所に改組したが、現在(2026年)に至るまでミエン・ヤオの儀礼文化の調査研究を行ってきた。
 以下の1987年から2025年までの研究調査で収集した静止画および動画、学術交流の場等の記録をすべて保存したものである。

①中国湖南省永州市での調査

 2008年11月に実施された最大規模の通過儀礼(度戒・トウサイ)の儀礼内容の把握と合わせ、儀礼で使用された大量の漢字経典および文書について、儀礼の実践と漢字経典の対応の明確化に努めた。2006年1月に馮家、2011年11月に大盤家、2015年12月に小盤家、2017年1月に趙家で実施された、中規模の通過儀礼(還家願・グヮーダーン兼ゾウダーン)の儀礼内容および漢字経典の把握のほか、異なる親族集団の事例を収集した。2010年8月の葬送儀礼では小規模の儀礼内容および漢字経典を把握し、規模の異なる儀礼間の異同を確認するために必要な資料を得た。年中行事の送船儀礼調査(2012年3月)、春節調査(2013年2月)、言語調査(2014年3月・8月、2015年8月)を行った。

②中国以外の地域での調査

 タイ北部では通過儀礼調査(2014年1月、2018年11月)、ベトナムでは通過儀礼を含む複数の儀礼および漢字経典に関する調査(2015年3月・9月、2016年2月・8月、2017年2月・9月、2018年1月、2019年1月)を実施した。タイ・ベトナムでの通過儀礼(トウサイ・ゾウダーン・グヮーダーン)および旧正月儀礼、架橋儀礼、神像画の開光儀礼の調査を通じ、儀礼に関する地域間の比較研究が必要であると認識を深めた。通過儀礼では盤王への祭祀において漢字経典の通称『盤王大歌』を読経する「歌堂」儀礼が実施されるが、この複数の異本を撮影した。さらに儀礼で使用される神像画の異なる祭司の所有する複数セットを撮影した。

③ミエンの儀礼漢字経典収蔵機関での調査

 バイエルン州立図書館(250件、2010年3月)、オックスフォード大学ボードリアン図書館(100件、2010年8月、2012年12月)、アメリカ議会図書館(45件、2014年9月)および南山大学人類学博物館(130件、2011年3月、2011年6月、2012年6月、2015年8月)で調査を実施し、収蔵されたすべての漢字経典を把握するには至っていないものの、同一タイトルの異なる漢字経典の把握に努めた。

④収集資料の整理

 儀礼調査後、儀礼の程序を作成し、漢字経典の使用について明確化する作業を行い、収集した漢字経典の翻刻を進め、同内容の複数本の比較対照を行い、ヤオ族文化研究所の刊行物『瑶族文化研究所通訊』等で公開を進めた。
 以上①~④は、2008年度~2012年度科学研究費補助金 基盤研究(B)20401013、2012年度~2014年度科学研究費助成事業 基盤研究(B)24401018、2014年度~2015年度神奈川大学アジア研究センター共同研究「湖南省藍山県過山系ヤオ族の言語学的研究」、2016年度~2018年度神奈川大学共同研究奨励助成金「ヤオ族の儀礼における文献と読誦歌唱法の総合的研究」、2020年度~2023年度科学研究費補助金 基盤研究(B)20H01184「道教の比較研究から見るヤオ族儀礼文献学の構築」(研究代表:浅野春二)、2022年度~2025年度科学研究費補助金 基盤研究(C)22K01084「儀礼と神話 ―多媒体で表現されるミエンの飄遙過海神話と儀礼システムの立体的研究―」を獲得して実施した。
 本研究では音楽・言語・民俗・文化人類・宗教・歴史・美術・工学等を専門とする多分野の研究者が協同して多角的な研究分析を試み、この間数多くの研究成果をあげてきた。そればかりでなくヤオの文化認知を広げるための展示(2017年チュラーロンコーン大学、2018年復旦大学、2017年ユーラシア文化館企画展)を行ったり、現地の祭司(中国・ベトナム)や海外のヤオ研究者を招へいしての国際シンポジウム(2009年中国長沙、2010年横浜、2012年中国長沙、2015年横浜、2019年平塚)等行ってきた。研究成果は『瑶族文化研究所通訊』等で発表しているほか、ヤオ族文化研究所のウェブサイト(https://www.yaoken.org/)で公開に努めている。
 2020年から現在まではコロナ禍の下、オンラインでの研究会を22回実施し、中国国内、香港、台湾等からも多くの研究者が参加している。この間「The 12th International Convention of Asia Scholars The “Tao Among the Yao”: Ethnographic and Textual Studies on the Rituals and Manuscripts of the Lanten Yao of Laos」(2021年8月)の参加をきっかけに香港大学のラオスのランテンヤオをフィールドとする研究チームとの交流が始まり、2023年8月25日・26日には香港大学との共同開催で、香港大學香港人文社會研究所において対面で「International Workshop on Yao Healing Rituals」を開催し、研究交流を継続している。中国のヤオ文化の研究拠点である広西民族大学との相互訪問を再開し、ヤオ族文化研究所のデジタル資料の提供(2022年9月)、講演の実施や研究成果に関する交流(2023年9月4日~12日)を進め、2024年3月には台湾輔仁大学においても研究交流を行った。
 コロナ禍の下の研究交流を通じて、ヤオ儀礼文化がエスニックグループや居住地や親族集団の違いによって多様な面をもつ一方、共通して継承している面があることが分かってきた。世界観、霊魂観、人と神との関係性、死と再生を意図する儀礼等ヤオの個性的な特徴を形成する統一性をもちながら、その表現方法は極めて多彩である。2024年10月11・12日に「多面性と統一性」をテーマとする国際シンポジウムをみなとみらいキャンパスにおいて開催した。
 関連展示として神奈川大学横浜キャンパスミュージアムコモンズにおいて9月9日から10月31日まで『常民文化ミュージアム 2024年度企画展「国境を越える民族のアイデンティティー ―ヤオ族の儀礼と神像画―」』を開催し、ヤオ族文化研究所の所蔵する神像画等を公開した。

神像画展ポスター https://yaoken.org/data-room/data/Tenji_Poster.jpg
神像画展リーフレット https://yaoken.org/data-room/data/Leaflet.pdf
展示解説動画 https://yaoken.org/data-room/data/ExplanationEX.mp4
展示解説動画(Youtube版) https://youtu.be/nL2Y1EaxSzs